お坊さんが語る終活

後悔しない人生を、笑顔の毎日を本当の終活で。

まる4年

平成27年6月6日、行年85歳  父岩雄が逝ってからまる4年になる。

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もう4年も経つのか、が正直なところである。

父は十二指腸癌を患っていたが、誠に痛みによる苦しみはほぼ無かった。仏様のご加護と思う。

 

父が入院している4月、腹水が溜まってきた話があった時、私は実家の千歳市に帰省することにした。千葉在住の姉も、実家にいる兄ともその後の話がしたかったからであった。

帰省の夜、懇意にしている葬儀社の知人に来てもらった。兄は「まだまだ」と言ったが、私の未熟な経験値から腹水は、そう遠くないタイミングを予見させてくれたからである。

 

気配りの必要なこと、お寺様への御礼のこと、決めておかなくてはならないことなど、アドバイスをしてもらった。

その中で三人の兄弟が全くピッタリ意見が合致したのが「遺影」であった。

 

父は無頼の釣り好き。それは父を知る人なら誰でも知っていると言っていいほど。

数年前、父は出版社主催の釣りイベントに参加し、釣り上げた魚とドヤ顔の父が、地元釣り雑誌の表紙を飾っていたのである。

「あれしかない」兄も姉も口を揃えた。

 

翌日、出版社に電話をしてCDにしてもらい、後日郵送してもらったのである。

 

葬送儀礼に訪れた父を知る人は皆、その遺影に納得をしておられた。

残った我々家族も納得であった。

 

私は終活に最も大切なことは、人と人との関わりであることをお伝えしている。そして終活は一人でするものではなく、家族や身近な人とすることが大切である旨伝えている。

今振り返っても、父の葬送に一点の曇りもない。

いや、父も全くそう感じている。

親子だからわかる。

 

まる4年、父の面影を思い出してその日を過ごしたいと思う。