秋の装いは終活へのいざない
11月になりました。
もう、お寺では大掃除やお正月の準備を始めなければならない時節です。
そんななか、ふと境内を歩きますと自然界からのたくさんのプレゼントが届いていました。
日本は四季があり、五感でそれらを感じ、味わうことができます。
秋の深まりを感じる今日この頃、まずは目で、自然の力や美しさを感じることができます。
開祖様のおじいさまが、仰られたうたですが、「春はただ 青一色と思えども
秋は色々花はさくなり」
これは人の成長を表すうたでありますが、誠に人の味とは、晩年になって輝きを増し、他への影響を大きくするものと思っております。
落葉する木々は我々の人生を描きます。
春、新芽を出して若葉をたたえる。
これは言いかえれば「誕生」です。
夏、最大に葉を広げ、太陽の恵みをからだ一杯にうけ、種を残す力を蓄える。
いいかえれば「青年・壮年期」です。
秋、自分の体の一部であったはずの葉を落とし、種をも体から離してゆく。
いいかえれば「老齢期」です。
冬、なりを潜め、次なる春の芽吹きを待つ。
いいかえれば「身罷り・死」となります。
終活を考える主な世代は、「秋」の方々が多いです。
自然の植物は四季に逆らいません。
ですが人間は困ったもので、人生の四季に逆らおうとします。
必ず訪れるその時のために、盛えた葉も、熟した実もこの身から離してゆくのが、自然の流れ。ですが人間は、時に自らが創り出したものであるかのごとき勘違いをして、葉や種を持ち続けようとします。
必ず離さねばなりません。
紅葉の色は鮮やかな時にこそ、その価値を表します。最大の価値を発揮し終えると、必ずその葉は木から離れ、落葉し、土に還ります。
それでこそ、次の春に生まれ変わってくることができるのです。
終活とは、自分を見つめ、今をより良く、自分らしく生きる活動です。
秋の深まりを感じながら、離してゆく人生の結び方をこころで感じ、大自然と同化する準備をしてもらいたいと思います。
ご覧下さり。ありがとうございました。合掌