お坊さんが語る終活

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「命をめぐる決断」を観て

24年前の今日の朝、私は大阪の総本山での、寒行の護摩供奉修の最中、あの大きな揺れを体感しました。

ちょうど二番目の護摩供が終わったところでありました。

当時、拝殿という道場が護摩道場でありましたが、正面の大ガラスが飴のようにうねり、鋳物の大灯籠が今にも倒れそうになり、必死に抑えたこと、今も克明に記憶しています。

その後、諸堂を確認、大小の被害がありました。

それから神戸の状況が明らかになり、神戸のお寺へ車で向かった職員はまさに一日かかって兵庫区の道場に着き、変わり果てた建物を目の当たりにしたそうです。

あれから24年、もうそんなに経ったのか、これが正直な感想です。

 

今夜、NHKテレビで「命をめぐる決断」という番組を観ました。

救命医療の現場でのトリアージはよく聞く話ですが、救助現場でもトリアージが必要である事が放映されていました。

現場の消防士の方の葛藤はいかばかりでありましょうか。

目の前の命に決断を下さなければならないほど辛いことは無いと思います。

しかし、目の前以外の命も、災害現場には存在するわけであり、優先順位は付けざるを得ないのであります。

私達は自覚しなければなりません。それは自身の家族や身内のものの命も、見ず知らずの他人の命も、全て「命」である事を。

助かる命を早く救うことが絶対に必要なことであり、その判断はプロに委ねるしかないということを。

 

体調不良になると医療機関を受診しませんか?その時ドクターは処方してくださいます。

その処方を私達は拒否するでしょうか。いいえしません。処方を受け容れます。それと同じです。プロに委ねる。これが至極当然のことなのであります。

 

近く大きな震災が訪れるであろうことが言われております。先ずは自助、共助を認識し、公助においてはプロの判断を甘んじて受け容れる覚悟を日々持たねばならないと感じました。